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UPDATE|2021/11/19

仲村トオル&斎藤工が14年ぶりに映画で共演「初対面は“気になる”出会い方でした」

仲村トオル・斎藤工 撮影/西邑泰和



仲村 少し話は逸れるんですが、『風の果て』のお話をいただいたときに、僕はNHKのプロデューサーの方に「青年期から演じることができます!」と、かなりしつこく言ってたんです。そしたら「キャスト全員が演じられなきゃ困るんです!」と言われて、僕ら大人組には佐藤浩市さんや遠藤憲一さんもいらっしゃったのですが、確かにメンバー全員が十代を演じるのは少々無理があるかもしれないなと納得しました(笑)。

――仲村さん、佐藤さん、遠藤さんが同時に十代を演じるのも見たいですけどね(笑)。

仲村 そんな経緯もあって、僕らの青年期を誰がやるんだろうと気になっていて。そしたら僕の青年期は、ちょっとした縁のある人なんだと知って、「お父さんは何をしている人?」って聞いたんです。ところが、その答えが返ってくる前に、「斎藤さん、お願いします」って呼ばれてしまったんですよ。結局、その後はリハーサル室で会うこともありませんでした。

ところが、その数年後に「私は『風の果て』で仲村さんの若い頃を演じた斎藤工の叔父です」という方と偶然お会いして、いろいろな謎が解けたり、さらなる謎が深まったり(笑)。そんな気になる出会い方をしたせいか、どんどん活躍を目にするようになって。常に気になる俳優でしたし、日に日に輝きが増して存在が大きくなっていく姿を、何となく身近な感じで見ているような気分でした。

初共演から約14年の歳月が流れて、初めて同じシーンにも出るという形の共演で、しかも万田監督の作品というのは本当に感慨深くて。この映画には何かある、いいものになるはずだという予感をさせてくれるキャスティングでした。

――仲村さんは『UNloved』(2002年)、『接吻』(2008年)、そして今回の『愛のまなざしを』と、万田監督とは3度目のタッグとなります。約20年間で万田監督の演出に変化は感じましたか?

仲村 感じました。『UNloved』のときは、リハーサルの段階で、「3歩歩いて止まって、左から振り返ってください」「顎を引いてください。それは引き過ぎです」という細かさでしたし、セリフに関しても「抑揚はいらないです」「もっと低い声で強く、死ぬ気で言ってください」といった調子で、野球のストライクゾーンで言うと、ボール1個分あるかないかの指示でした。

これでもなく、あれでもなく、「この角度!」みたいな。そのストライクゾーンに関しては、『愛のまなざしを』では広くなった感じはします。ただ、僕の目と耳で感じたことで言うと、表に現れるものから形作っていくという基本の演出は変わらないですね。ここで動く、ここで止まる、ここで座る、ここで何かを持つという具体的な指示はありますが、ほとんど感情とか意味の説明はなさらないんです。そこは昔から変わらないところです。

AUTHOR

猪口 貴裕


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