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UPDATE|2019/03/31

つんく♂がモーニング娘。メンバーに見せた「新しい卒業の形」


「若い子達が一番楽しい時間を全部ここに集中してるわけじゃないですか。青春を懸けてくれた分、結果的には良かったねって言ってもらいたいんですよ、やっぱり」(つんく♂)(※2)

そして実際にこの年、卒業を提案されたメンバーたちはというと、結果として全員がその後もハロー!プロジェクトに残ったまま、テレビドラマや舞台への挑戦、コンサートの開催、あるいは結婚と、卒業後の人生を思い思いに歩んでいった。

モーニング娘。の2代目リーダーでもあった飯田圭織はグループに強い愛着を抱いていたが、卒業の打診を機に「本当は心配だし手を差し伸べたいけど」(※2)後輩たちにグループを託す決心がついていき、それが後の結婚にも繋がっていく。石川梨華は「会社から卒業証書を手渡された感じで」(※2)この頃に改めて自身の未来と向き合った結果、視野が広がり、芸能仕事に新しい楽しさを見つけることができていったと話す。

またモーニング娘。のマザーシップとまで言われ、グループ在籍中はなかなか自由な活動ができなかった安倍なつみも、卒業を告げられたことがやはり転機だったことを後のインタビューで明かしている。

「モーニング娘。はやっぱり自分にとって、特別だったんです」「そこからまた違う朝が始まる。違う人生がスタートするという気持ちを改めて持つことが出来ました」(安倍)(※2)

かつてグループの解散で区切りを迎えていた女性アイドルたちは、その巣立ちを「終わり」という意味合いで捉えられることが多く、その後に個々が新しい道を確立するまでにはかなり長い時間を要した。しかし時代の変わり目に生まれたモーニング娘。は、メンバーの巣立ちの後もグループが母体として残ることで、結果的に「終わらない」OGたちのもう1つのストーリーも紡ぎだしていくことになった。

そしてこのモーニング娘。の一連の動きが、もう一度評価されるべ点がある。それはグループとの関係性がそのまま、未熟な少女からの卒業=家庭に入れば全て終わりという古い価値観を脱しようとする、そんな新しい時代の女性たちの生き方と、自然にリンクしていたということだ。


『愛あらば IT’S ALL RIGHT』(2004年1月21日発売)安倍なつみのラスト参加シングル

※1『U+U=W』(竹書房)
※2『モーニング娘。 20周年記念オフィシャルブック』(ワニブックス)
AUTHOR

乗田 綾子


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