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UPDATE|2022/12/29

『ザ・ノンフィクション』神回、ゲーム芸人・フジタが語る父親に捨てられた壮絶な幼少期

ゲーム芸人・フジタ



「それこそ内縁の妻は、ネズミが出るようなすごい部屋に住んでいて。『ザ・ノンフィクション』でも放送されていましたが、待ち合わせにちょっと遅刻したくらいで、あんだけ怒鳴り散らすような方なわけですよ。ちょっと意に反するって思っちゃうと、僕が『電話で話したい』っていっても『話なんてありません』って切ったりとか。この女性のどこに魅力があるのか、まったくわからなかったです。でももう父親と30年近くも続いているわけだから、いいところもあったのかもしれないですけどね」

聞けば聞くほどに、凄まじい幼少期を過ごしてきたフジタだが、父親とAさんに振り回された子どもは、もうひとり存在する。Aさんの実子でもある、フジタの同級生だ。父親とAさんとが男女関係を持つようになり、当然のことフジタと同級生、ふたりの関係にも変化が生じることとなった。

「もともと遊ぶくらいの仲ではあったんですよ。フラットな関係だったけれど、父親とAさんがそういうことになってからは、キツくなりましたね。同級生は擦れているタイプの子で、『俺んちに、フジタんところの親父が来るんだよ』みたいなことを、クラスメイトたちに言いふらしたりとか。向こうも恥ずかしいはずだと僕は思ってたんですけど、全然平気みたいで。授業中に勝手に教室を出て行くような、もともとクラスで一番浮いているような子ではあったけれど、ちょっと切れてるなって。思ったことを行動で示せる子だったんで、僕と逆の立場だったら殺されていたと思いますね」

父親もAさんの子どもの性格をわかっていて、明らかにフジタとは扱い方が違ったという。

「うちの父親は母が生きている頃から暴力的で。それこそ人の家の子どもを殴ったりもしていて。もちろん悪いことをした時ですけども。でもそれは別に僕は、かっこいいと思ってたんです。人の子どもをちゃんと叱れるのってすごいじゃないですか。でも、内縁の妻と付き合い出してからは、悪い事をしてなくても僕は殴られるし、同級生(Aさんの子供)は悪いことをしても殴られない。もうめちゃくちゃになりました。でも、あっちはあっちで、襖で繋がっている六畳四畳半みたいな狭い家だったので、キツかったんじゃないかと思います。僕の父親と自分の母親がそういうことをしているところを見たとも言ってましたから。そういうのがあったので、僕は、父親のことが人として尊敬できない感じです」

父親のせいで不幸な少年時代を背負うことになったフジタ。それなのに、痴呆が始まった父親を見捨てることなく、いまも必死に関わり続けているのはなぜなのか――後半に続く。

(取材・文/大泉りか)

▽『漫画版 ファミコンに育てられた男』
刊行:双葉社
発売日:2022.12.22
予価:1,595円 (本体1,450円)
書籍『ファミコンに育てられた男』のコミカライズ。主人公のフジタ氏はグレープカンパニー所属のゲーム芸人。小学校入学前に母親が急死、父親の育児放棄により壮絶な半生を歩んだ。彼の孤独を癒し、人生を教えてくれたのはファミコンのソフトだった。彼はファミコンに育てられたのだ――。

【後編はこちら】ゲーム芸人・フジタが語る『ザ・ノンフィクション』その後、父親の認知症と介護…そして婚活

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