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UPDATE|2023/03/08

【何観る週末シネマ】パリのシンボル、エッフェル塔建設に隠された想い『エッフェル塔~創造者の愛~』

(C) 2021 VVZ Production – Pathé Films – Constantin Film Produktion – M6 Films

この週末、何を観よう……。今週公開の作品の中から、映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、3月3日(金)より公開されている、『エッフェル塔~創造者の愛~』。気になった方はぜひ劇場へ。

【写真】『エッフェル塔~創造者の愛~』場面写真

〇ストーリー
ギュスターヴ・エッフェル(ロマン・デュリス)は、アメリカの自由の女神像の制作に協力したことで、大いなる名声を獲得する。時は1886年、ここフランスでは3年後に控えた「パリ万国博覧会」の話題でもちきりだ。シンボルとなるモニュメントとして誰が何を作るかは、コンクールで選ばれることになっている。全く興味のなかったエッフェルだが、パーティーの席で大臣から「戦争に敗れた今、我が国に必要なのは自由の女神のようなシンボルだ」と参加を要請される。さらに、久しぶりに再会した友人で記者のアントワーヌ・ド・レスタック(ピエール・ドゥラドンシャン)の妻から、「大臣と同感です。ぜひ見てみたい。野心作を」と言われたエッフェルは突然、「ブルジョワも労働者も皆が楽しめるように、パリの真ん中に300mの塔をすべて金属で造る」と宣言するのだった……。

〇おすすめポイント
パリのシンボルとして知られる「エッフェル塔」。誰もが知る観光名所でもあるが、そんなエッフェル塔には隠された、ある想いが反映されていたとしたら……。そんな実話と仮説が入り混じった恋愛映画である。

かつて身分の違いを越えて愛し合ったふたりは悲劇的に別れたはずが、運命的に再会。しかし相手は友人の妻になっていた……。というメロドラマのような展開の中で、秘めた愛を表現するかのように、エッフェル塔建設に没頭していくギュスターヴ。

世間から批判や資金の調達、労働者の不満など、様々な壁が立ちはだかるものの、それらが全てふたりの愛を隔てる障害物のメタファーでもあるかのように描かれていくのが特徴的な作品だ。

アドリエンヌの眼差しを通して過去がフラッシュバックされることで、失った愛を探求していく中で、運命にはあらがえず、少しずつギュスターヴとの愛を再生させていくアドリエンヌだが、アドリエンヌにはギュスターヴも知らない、ある衝撃の秘密を抱えていた。

エッフェル塔の完成はふたりの愛の成就となるのか、それとも……。

今作は言葉ではなく、視線を通しての愛の駆け引きが重要視された作品であるが、そう感じるのもアドリエンヌを演じたエマ・マッキーの目力の強さからだ。

今年公開のマーゴット・ロビー主演の実写版『バービー』にも出演するエマ・マッキー、今後の活躍にも期待したい!!

〇作品情報
出演:ロマン・デュリス、エマ・マッキー、ピエール・ドゥラドンシャン、アレクサンドル・スタイガー、アルマンド・ブーランジェほか
監督:マルタン・ブルブロン 
脚本:カロリーヌ・ボングラン 
2021年│フランス・ドイツ・ベルギー│フランス語│108分│カラー│5.1ch│ドルビーデジタル│シネスコ│原題:EIFFEL│字幕翻訳:橋本裕充│R15
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
公式HP:eiffel-movie.jp
3月3日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開

(C) 2021 VVZ Production – Pathé Films – Constantin Film Produktion – M6 Films

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