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UPDATE|2023/04/06

【証言 AKB48とキングレコードの15年】「オリコンウィークリー1位と紅白歌合戦を目指します」

2009年10月21日に発売されたAKB48 14thシングル『RIVER』。この曲で初めてオリコン週間1位を獲得した。


 いくつかある要因のなかでも、AKB48を大きく前進させたのは、選抜総選挙である。その渦中に湯浅氏はいた。

湯浅 全10回行われた選抜総選挙ですが、僕は第1回から選挙管理委員長を務めてきました。

 総選挙での一番の思い出は、なんといっても速報です。AKB48劇場に集計会社の弁護士の方から届けられる速報値をステージ上で僕が読み上げるんです。ファンの方もメンバーもいますし、姉妹グループの劇場にも中継がつながっている。それどころか、新宿ALTAのビジョンに生中継される年もありましたから、毎回手が震えました。

 おぎゆか(荻野由佳)が速報で初めて1位になった年(2017年)のことは忘れられません。順に読み上げていくんですが、3位まで読んだところで、「1位 荻野由佳」と書いてあるのが視界に入りました。でも、驚きの表情を出してはいけませんから、必死に平静な顔を作りました(笑)。

 でも、僕にはもうひとつの役目がありました。それは、開票当日のメンバーのケアです。早めに名前を呼ばれてしまって泣いている子、名前を呼ばれずに肩を落としている子が裏にはたくさんいました。その子たちにまず声をかけるんです。そんな子たちを慰めてから、ようやく僕はステージ側に回って、イベントを観ることができるんです。

 一番記憶に残っている総選挙は、(渡辺)麻友が1位になった2014年かな。僕はやっぱりAKB48の担当ですから。

 日本レコード大賞の連覇もまたAKB48の名前を大きくした。2011年に『フライングゲット』で、翌年には『真夏のSounds good!』で獲得した。連覇を果たしたのは史上6組目(当時)だった。

湯浅 当日の僕の役割は、もし大賞を獲ったら、会場外に停めてある中継車まで走って移動して、音声のバランスを確認することでした。「大賞は……AKB48!」とアナウンスされると、すぐさま舞台袖から中継車まで嬉し涙を流しながらダッシュです。だから、泣きながら階段を下りてくるメンバーたちの感動的な姿は見ていません。歌唱中は音声の方と相談しつつ、泣いているメンバーのマイク音量を最大限まで上げてもらいました。

 オリコン1位、レコード大賞受賞、紅白歌合戦出場……。AKB48は隆盛を極めていた。しかし、数々の輝かしい記録よりも「もっと嬉しかったことがありました」と湯浅氏は話し始めた――。

【つづきを読む】AKB48とキングレコードの15年【3】「計71回の被災地訪問で実感したエンタメの力」
AUTHOR

犬飼 華


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