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UPDATE|2023/05/30

有村昆がお悩みを映画で解決!絶対に謝らない部下にイライラ…44歳管理職からのSOS

有村昆 撮影:松山勇樹

映画コメンテーターの有村昆が、読者からのお悩みにあわせて、オススメ映画を紹介するシリーズ企画「映画お悩み処方箋」。第2回目の今回は、仕事ができない部下との関係性に病んでしまいそうだという管理職の方からのSOS! アリコンがレコメンドした意外な2作とは…?

▽相談
部下がバカすぎて困っています。仕事が遅かったり、ミスが多いだけでなく、そのことを注意しても「ですよね、同じこと思っていました」などと開き直り、素直に謝らないのでイライラします。また、仕事の依頼をすると「でもそれって…」みたいに、必ず否定から入るのも気に触ります。クビにしたいですが、会社は人手不足。こんなバカでもいないよりはマシな状態です。結果、部下のミスをすべて管理職の自分がカバーしなければならず、部下が定時で帰る中、ひとりで残業をしている日々です。しかも管理職なので残業代は出ません。このままでは自分が病んでしまいそうです。(44歳・男性・会社員)

【写真】有村昆がお悩みを映画で解決

この相談者の男性は真面目な方なのだとお察ししました。この悩みを紐解いてみると、部下と仕事が上手くいかない、人材を活用できない、ということですよね。それでまず浮かんだ映画が『マネーボール』です。主演はブラッド・ビット、監督ベネット・ミラー。ちなみにこのベネット監督の弟のセオドール・ミラーは、アンミカさんの旦那さんですね。

『マネーボール』は、メジャーリーグに所属するオークランド・アスレチックスという弱小球団が、それまでの常識を覆すセイバーメトリクスという理論を用いて強敵に向かっていくという、実話を元にした作品です。

それまでの野球界というのは、ざっくり言うと大谷翔平選手のようなスターをかき集めれば勝てるという考え方だったんですよ。日本でも資金のある球団が、スター選手をお金で引っ張ってきて豪華な打順を組む、みたいなスタイルが見受けられますよね。ところが、このオークランド・アスレティックスというのは弱小チームで資金力もない。そこにビリー・ビーンという元選手のジェネラルマネージャーが起用されて、新たな理論でチームを再建していく姿が描かれていきます。

アスレチックスはお金がないから、安い選手しかスカウトできない。なので、総合力は低いけど、脚が速いヤツとか、選球眼が優れているとか、一芸に秀でた選手を見つけて連れてくる。それを、データや統計に基づいて適材適所で起用していくんですよ。この作戦が見事に当たって、強豪の4番打者しかいないようなチームに勝っていくという、本当に映画的なストーリーですが、これが実話ベースなんですね。

これを今回のお悩みに当て込むと、この方は無能な部下と仰ってますが、無能なりにも、どこか1個くらい優れている所があるんじゃないかと思うんですよ。仕事は遅いけど会話の能力があるとか、意外とムードメーカーでみんなを盛り上げてくれるとか。ほんとにひとつ、例えば「エクセルがすごく使いこなせる」だけでもいいんです。じゃあエクセルはお前に任せるよ、ということですから。で、その後輩自身も結果が出ると褒められる。 そうなると、伸びると思うんですよ。エクセルなら任せろ、みたいな。

やっぱり組織の中で、その素質を見抜いて仕事を与えるのは簡単ではないですが大事ですよね。

あと、この相談者さんは優秀ゆえにひとりで背負いすぎてないでしょうか。トップが優秀すぎる組織は、部下が育たない可能性がありますよね。なぜならトップが出来てしまうから。で、そのトップが倒れちゃうと、もう会社として回らなくなる。だから、僕がやんなきゃいけないというマインドは、緩めるところも必要だと思うんですよね。ダメな部下だったとしても、思い切って任せられるくらいの余裕を持てば、精神がすり減らないと思います。


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