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UPDATE|2023/06/25

国際ロマンス詐欺の犯人を追う記者が目撃した衝撃の正体「ナイジェリアの学生がアルバイト感覚で」

水谷竹秀 撮影/松山勇樹



「チャットツールのテレグラムで、僕が本に書いたとおりに打ち込めば、ロマンス詐欺に使われる甘い言葉の例文がたくさん出てきます。フェイスブックでのアプローチの仕方から、ターゲットの選び方まで彼らヤフーボーイが教えてくれました。例えば、フェイスブックの登録者数が多いトランプ支持者のコミュニティーに行って片っ端からいいねをつけて、引っ掛かった人にマニュアルにある甘い愛の語りをコピペして送り続けていたら、ひょっとしたら引っ掛かる人が現れるかもしれません」

日本で詐欺といえば、オレオレ詐欺が有名だが、瞬発性が伴うオレオレ詐欺とは違い、ロマンス詐欺は被害者からジリジリと搾り取るため、被害額が大きいという特徴もある。

「オレオレ詐欺はすぐに振り込まないといけない状況を作って騙すので、その場で用意できる金額に限られるんですよね。ロマンス詐欺の場合は継続してジリジリと犯人がアプローチしてくるので、本人が気づかない限りは、どこまでもいってしまうんです。

先日、ニュースでみたんですが、青森県内がロマンス詐欺の被害額が一番多いそうです。8件で総額1億6千万。1件で8千5百万円の被害も確認されたとか。この8千5百万って、全財産ではないと思います。カードで借金したり、家族や知人からかき集めたりとかして作ったお金ではないでしょうか」

どうして借金をしてまでも、金銭を注いでしまうのか。そこにはふたつのパターンがある。

「相手に恋愛感情を抱いてしまっている場合は、お金を払うことで繋ぎとめている関係が、壊れてしまうことへの恐怖心ですよね。単純に儲けたいという気持ちで、暗号資産に手を出した場合は、既に投資してしまっていることに関して『今ここで辞めてしまったら、回収できなくなる』って損切りできずに振込続けてしまう。パチンコに近いと思います。負けを取り戻そうとして、さらにハマっていってしまう」

最初に騙されてしまったら、どんどんドツボにハマらざるを得ない国際ロマンス詐欺。フェイスブックやインスタグラムで海外の美女・美男からメッセージが届いても、決して返信することなく、無視をすること。身を守るにはこれしかない。引き続き後編でも、水谷氏に国際ロマンス詐欺に騙されやすい人の特徴と、信じ込んでしまう心理について語っていただいた。

取材・文/大泉りか


『ルポ 国際ロマンス詐欺』(小学館新書)
著/水谷竹秀
定価1100円(税込)
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【後編はこちら】なぜ騙される!?被害者急増の国際ロマンス詐欺を取材する記者に聞いた“引っかかる人”の特徴

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