くしくもファイナルステージは漫才師による三つ巴の決戦に。トップバッターの令和ロマンが恋愛バラエティショーにおじさんが出演するというネタで共感に伴う笑いを誘えば、2番手のダブルヒガシは「誰も聴いていないラジオ」を2人で演じる漫才で爆笑をさらった。最後の素敵じゃないかは「ボタンを押し続ける」という意味について言い合うネタを披露し、かまいたちの山内健司に「1本目と全く違うタイプで勝負する心意気がいい。好きなネタでした」と言わしめた。
かくして今大会を制したのはダブルヒガシ。令和ロマンと671点で並んだが、ファーストステージの点数で上回り、悲願の初優勝を飾った。ダブルヒガシは3月にもytv漫才新人賞決定戦で優勝し、今年早くも2冠目を達成している。M-1グランプリでは6年連続準々決勝の壁に阻まれているが、2023年がブレイクスルーの一年となるかもしれない。
惜しくも2年連続の準優勝となった令和ロマンだが、ネタ2本とも言葉選びのセンスで笑わせつつ、大きな動きも織り交ぜてらしさを炸裂させた。ツッコミ・松井けむりの「俺がおじさんなばっかりに」のキラーフレーズは筆者だけでなく、多くの視聴者の脳裏にも刻まれたはずだ。
素敵じゃないかにしても従来の王道の漫才からは外れた形を1本目で示し、2本目はオーソドックスなしゃべくり漫才でコンビとしての幅を見せた。
3組とも非常にレベルが高く、今大会のファイナルステージはM-1グランプリのそれと比べても決して見劣りはしないもの。これまでの長い歴史と同様、次代のスターがここから生まれることは間違いない。
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