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UPDATE|2023/07/12

アイドルとプロレスの二刀流・アプガ(プロレス)鈴木志乃「25歳、年齢を気にしていたのは自分だけ」

アップアップガールズ(プロレス) 鈴木志乃

アップアップガールズ(プロレス)の新メンバーとして、今年3月にデビューした鈴木志乃。元バスガイドという異例の経歴を持つ、期待のルーキーだ。とにかくアイドルになりたかったという彼女のこれまでのキャリアや、レスラーとしての矜持を元週刊プロレス記者の小島和宏が深掘りする(前後編の後編)。

【前編はこちら】バスガイドを辞めて夢のアイドルに、アプガ(プロレス)鈴木志乃「ダンスも歌もプロレスも未経験」

【写真】元バスガイドという異例の経歴、アプガ(プロレス)鈴木志乃

プロレスデビューを果たした数日後、アップアップガールズ(プロレス)は渋谷で開催されたアイドルフェスに参加していた。

記者はそのステージを純然たるアイドルとして取材した。これまで3人で活動してきたグループが、新メンバーを加えて4人編成になる。当然、フォーメーションも変わるわけで可能性は大きく広がっていく。ちょうどメンバーの渡辺未詩が東京ドームでの武藤敬司引退興行に出場し、大注目を集めたばかりのタイミングでもあったので、ちょっと見逃せないステージだな、と感じていた。

しかし、残念ながら、その日、4人でのパフォーマンスを拝むことはできなかった。

アイドルフェスであっても、彼女たちは二刀流を貫く。前の出番のアイドルが捌けると、スタッフは手際よくステージ上に運動用のマットを敷く。さすがに本当のリングは組めないので、このマットの上でプロレスを試合を披露し、その後、アイドルとして歌を披露する、という趣向である。ロープがないから立体的な動きは制限され、じつはレスラーにとって、真の技量が問われる場でもある。

その試合中、腰をしたたか打ちつけた鈴木志乃はアイドルとしてパフォーマンスすることが困難になり、ステージ上に座って、3人のライブを鑑賞する、という異例の事態に。対戦相手にメンバーも入っていたので、さすがに誰も文句を言えない。なんとか立ち上がってラストのダンスには加わったが、二刀流の厳しさが浮き彫りになった。

「あの日、はじめてマットプロレスを経験したんですけど、思っていたより何倍も痛かったんですよぉ~。でも、あのあとアイドルとしての活動もすごく増えて、すごく恵まれているなぁ~って思います」

コロナ禍により、アップアップガールズ(プロレス)はアイドルとしての活動を縮小せざるを得なくなった。ライブハウスでの対バンを積極的に展開してきたが、そもそもライブハウスでの公演自体ができなくなってしまったのだから手も足も出ない。

だから6月10日に新宿FACEで開催されたアップアップガールズ(プロレス)の単独ライブはじつに4年半ぶり! 既存メンバーはそれだけ長い期間、苦渋を味わってきたが、鈴木志乃にとっては加入後、すぐに単独ライブが巡ってきたわけで、たしかに恵まれた環境にある。

プロレス会場としてのおなじみの新宿FACEにはこの日もリングが組まれ、メインステージと花道で繋がれた。初披露となる新曲をふくめ、まず5曲を披露すると、その後はプロレスを3試合。入場時にはおのおののテーマ曲を歌いながら入ってくるのでセットリスト的にはさらに4曲が加わることとなる。かなりお得感があるので、また単独ライブが開催されるときには、ぜひチェックしていただきたい。

まさにプロレスラーとしても、アイドルとしても、自分が主役になれる晴れの舞台。他のメンバーがプロレスラーとしてギラギラ輝く中、鈴木志乃はこの日も敗北。悔し涙にくれた。

AUTHOR

小島 和宏


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