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UPDATE|2023/08/08

ファッション誌『STORY』の表紙モデルに、いま〝エビちゃん〟こと蛯原友里を起用する理由

『STORY』の撮影風景

8月1日発売の『STORY』9月号(光文社刊)から新しい表紙モデルに決定した「エビちゃん」こと蛯原友里。『STORY』創刊時の2002年当時20代だった「エビちゃん」をSTORY世代の43歳になったいま、表紙に異様する意義を『STORY』統括編集長の河合良則氏が語った。

【写真】蛯原友里『STORY』の撮影風景&懐かしの過去写真【14点】

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およそ20年前に起きた、「エビちゃんブーム」。スマホ社会が本格到来する前、彗星のように現れ、老若男女、日本中の人たちがこぞって注目したファッションモデルが蛯原友里さんでした。通称「エビちゃん」は、社会現象を巻き起こしました。

当時の私はといえば、蛯原さんが誌面を飾っていた『CanCam』(キャン キャン)のライバル誌である『JJ』(ジェイ ジェイ)の編集者。実のところ、その大ブームを実に苦々しく見つめていました。

私は、出版社に入社後すぐに『JJ』に配属されてから、10年が経とうとしていました。いわゆる〝赤文字系ファッション誌〟の嚆矢かつ看板雑誌の中堅編集者として、表紙や大特集も担当し、目まぐるしい日々を送っていました。

当時の『JJ』は、梅宮アンナ、梨花、平子理沙……綺羅星のごとくスターモデルを輩出していました。長年、女性誌マーケットにおいて、『JJ』の存在は、とにかく圧倒的存在だったのです。ただし、エビちゃんが、ライバル誌『CanCam』に登場するまでは……。

「エビちゃんブーム」が巻き起こる少し前のこと。そのころの私は、〝モデル発掘の担当〟でもありました。
「自分の担当ページ専属の、新人スターを生み出したい」そんな野望を叶えるべく、モデル事務所と連絡をとっては、「顔見せ」と称し、編集部で「ミニ・モデルオーディション」を随時開催していたのです。

ある時、そのモデル候補者を見たとたん、身体中に電流が走りました。ひときわ光り輝く原石を見つけたのです。興奮冷めやらぬまま即、マネジャーにコンタクトをとると、「いや~河合さん、その子はついこの間、『CanCam』に決まってしまったんですよね……」本当に〝ハートに刺さった〟だけに悔しかった。20年経った今も、忘れられないシーンです。そのモデルとは言うまでもなく、蛯原友里さん。だからこそ、エビちゃんブームは私にとって余計に苦々しかったのです。

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