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UPDATE|2023/09/18

『転職の魔王様』Pに聞く、“逆マタハラ”の回は「仕事への価値観は本当に多種多様なのだと勉強に」

成田凌と小芝風花/『転職の魔王様』


本作の一番の魅力は嵐の言葉である。厳しい言葉がいくつも魔王様の口から飛び出すが説教臭さは感じない。耳が痛いセリフはあるが不思議と前を向きたくなる。嵐が厳しい言葉を投げかけるシーンではどういった配慮がなされているのか。

萩原氏は「『嵐を説教や正論を言いたいだけの人にしてはいけないよね』ということは現場で話していました。決して怒鳴る方向にはせず、語尾も長すぎず短すぎず、杖をカツンと鳴らすタイミングを計算するなど、“最後は求職者が自ら決断を下す”という形に自然に持っていけるように試行錯誤しています」と答える。

「嵐は事故によって足に障害を負っており、フットワーク軽く動けるわけではありません。主人公ではあるもののスーパーヒーローではなく、生身の人間であるということは大事にしています。例えば、杖の持ち方や歩き方など、”偉ぶっている人”という雰囲気にはならない役作りや映し方を徹底しています。

また、本作を制作するにあたり、実際にキャリアアドバイザーとして働く人達に取材しました。そこで『決して教える立場ではない』『いかに求職者に寄り添うかが大事』ということを聞けたことも大きかったかもしれません」

ここからは特に気になったエピソードを掘り下げたい。5話では嵐は自身の過去に向き合い、そして乗り越えることができた。千晴はシェパードキャリアの社員となり、キャリアアドバイザーとしての第一歩を踏み出した。まだまだ5話にして“最終回感”が漂ったがなぜこういった内容になったのか。

「“メインどころが毎話成長していく”という方向にしたかったんですよね。嵐が過去と向き合うことも、千晴が社員になることもラストに持ってきてしまうと、全体を通してみた時に2人の成長スピードがかなり緩やかになってしまう。それは避けたかったため、5話で一旦一区切りつける展開にしました」

6話では転職を繰り返す40歳手前の営業マン・八王子道正(宮野真守)がメインの回。八王子演じる宮野は“得意”の顔芸を幾度も披露するこれまでにはない求職者だった。若干暴れ過ぎな印象もあったが宮野の演技はどのような指示を出していたのか。萩原氏は「現場でいきなりあの顔の演技を見せられ、最初はかなり驚きました」と振り返る。

「監督から宮野さんに『遠慮せずにやってください』『やり過ぎた時はストップをかけるので』と伝えました。とても明るくかつコミカルに演じてもらったほうが、後半に八王子が抱える不安や不満が顕在化した時にギャップが生まれ、『どれだけ八王子が苦しんでいるのか』ということを視聴者に感じてもらいやすくなるので。

ただ、八王子の同僚・小池(西垣匠)を演じた西垣さんからは『宮野さんと演技する時は笑いをこらえるのが大変でした』という“苦情”も寄せられました(笑)」
AUTHOR

望月 悠木


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