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UPDATE|2023/12/28

「男性ファンは根強く、女性ファンは移り気が早い」は本当か、エンタメ社会学者に聞く

よぴんこ(yopinco)

「男性ファンは根強く、女性ファンは移り気が早い」「女性のほうがミーハーが多い」というニュアンスの言葉をちょくちょく耳にする。実際、株式会社SheepDogが7月に公開した『推し活に関するアンケート』によると「推し活に月3~5万円程度使っている」と回答した男性(8%)は女性(4%)の2倍だった。金額が全てではないが男性のほうが推し活に熱心な印象を受ける。

【関連写真】「推し」をテーマにしたドラマも放送中

結局のところ、 「男性ファンは根強く、女性ファンは移り気が早い」という考えはある程度妥当性があるのだろうか。『推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)の著者で、エンタメ社会学者の中山淳雄氏に話しを聞いた。

本当に「男性ファンは根強く、女性ファンは移り気が早い」という傾向の妥当性を聞くと、「そういった傾向は特にありません。そもそも、男性のほうが推しに対する消費額が多い理由として、男女の賃金格差が考えられます」とキッパリ。

「私としてはむしろ男性のほうが移り変わりが早く、女性のほうが根強い印象です。その理由として、女性向けコンテンツの少なさが挙げられます。ゲーム業界を例に出すと、これまで“ゲーム=男性向け”と思われ、男性をターゲットにしたゲームが多く作られていました。つまりは女性向けのゲームは少なくなかった。

2010年にPSP用のゲームとしてリリースされた『うたの☆プリンスさまっ♪』は、携わったクリエイターの素晴らしさが当然ありますが、競合が少なかったからこそ10年以上も愛されているタイトルになりました。裏を返せば、『うたプリ』を脅かすライバルが少なかったことが今なお支持されている一因と言えます」

確かに『うたプリ』のようなアイドル育成ゲームは男性向けでは非常に多い。また、言われてみれば漫画やスポーツなどあらゆるエンタメは男性向けの傾向が高い。女性は選択肢が少ないからこそ、1つのコンテンツを根強く愛すしかない。その一方で男性は選択肢が多いため、頻繁に目移りしてしまうのだろう。

ただ、中山氏は「ネットが普及したことにより、消費者行動が可視化されるようになりました。その結果、『意外と女性もゲームを購入する』ということがわかり、女性向けのゲームは続々リリースされています。今後ゲームに限らず女性も選択肢が増えることにより、男性のように移り変わりが激しくなるでしょう。また、推している人の男女比が9:1、2:8と偏ったコンテンツが以前は多かったですが、最近は男女比が7:3、4:6のコンテンツも増えており、“男性向け・女性向け”という枠組みが適用されにくくなりました。移り変わりの早さなどの男女差は今後減っていくと思われます」と語る。
AUTHOR

望月 悠木


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