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UPDATE|2020/02/09

丸川珠代・元 東京オリパラ担当大臣「東京だけではない、日本のオリンピックにするために」

左から井上咲楽、丸川珠代 撮影/松山勇樹



井上 私、一般で応募して、地元の聖火ランナーになったんです!

丸川 すごい! とっても貴重な体験になると思いますよ。

井上 今までオリンピックはテレビで観るもので、違う世界の話という感覚でした。でも、物心ついてから初めて身近で開催されることになって、しかも自分が聖火ランナーをすることになって、今はぐっと身近に感じています。ただ、地方にはどこまでオリンピック・パラリンピックの恩恵があるのかな? という疑問もあります。私は田舎の出身なので、東京は盛り上がっているけど、会場のない地方はいまいちとならないかなって……。また、開催する側は熱気や恩恵をくまなく届かせたいと思っているのか。気になります。

丸川 それはオリパラを担当した大臣、組織委員会や事務局のメンバー、みんなが考えていることです。東京だけではない「日本のオリンピック」としてどうやって発信していくか。考えに考えてきました。

井上 そうなんですね。

丸川 たとえば、会期中に選手村では百万食以上の食事を選手、スタッフに提供します。その食材は全国から集まるわけで、産地を示すことができれば生産者の方、生産地の皆さんがオリパラに参加した意識が高まります。そこで、生産地の名称をどこまで表示していいか1つひとつをIOCと協議してきました。ようやく「何々県産」まで表示してよくなったんですが、その答え1つを引き出すまで本当に何年も話し合ってきたんですよ。

井上 え~!!

丸川 他にも、私がオリパラ大臣のときに、お花屋さんの業界の方から「被災地のお花をメダリストへのビクトリーブーケにしたい」というアイデアをいただきました。被災地支援として素晴らしいと思い、IOCと協議を重ね、ついこの間、正式発表にこぎ着けました。こちらも実現まで3年かかっています。なかなかニュースになりませんが、組織委員会をはじめスタッフは本当に地道な努力をしてくれているんです。

井上 政治の世界では、身近なことも細かく年月をかけてやっているんですね。

丸川 そうなの、1つひとつ素早く決まればいいんだけど、なかなかそうもいかなくて。でも、1人のスポーツファンとしてもオリパラは楽しみですね。自国開催は日本の選手にとってアドバンテージがあると思います。遠くまで移動し、環境に慣れる時間を取った上で競技に望まなくてもいいですから。おそらく過去最高のメダルの数が狙えるんじゃないかなと期待しています。しかも、自分たちの国の選手がメダルを取る瞬間を、行こうと思えば行ける距離の競技会場で見ることができます。

井上 そう考えると、改めてすごいことですよね。

丸川 井上さんをはじめ、聖火ランナーも日本全国を走るので、ぜひ一瞬でもいいからみんなに観に行って欲しいなと思います。

(取材・文/佐口賢作)

「取材を終えて」~井上咲楽の感想~
オリンピックも、東京だけじゃなくて地方にも恩恵があるようにと、あまりビックニュースにはならないけど、とても喜ぶ人がいることを分かっていらっしゃいます。細かいところにも時間をかけて一生懸命に取り組まれている姿勢を見て、政治家という仕事のすごさを改めて感じました。そして、野党も与党もおかしな構図になっている都知事選、必ず大きな動きがあると思うので、しっかり取材していきます。
丸川議員が <新たに選挙権を得た若い世代> に読んでほしい1冊

『逝きし世の面影』(渡辺京二 著/平凡社ライブラリー 刊)
日本の近代論や思想史を在野で研究してきた思想史家の渡辺京二氏による大作。幕末から明治に日本を訪れた、異邦人による訪日記を読破し、文化と文明を綴っていく。「外国人の視点で描かれる江戸時代後期の日本というのは本当に穏やかで、自然が豊かなんです。もちろん、貧しく苦しい思いもあったとは思いますが、今とは違う豊かさが見えてくる1冊。私が『日本人でよかったな』と思える暮らしの要素の根っこが書かれている、すごく好きな本です」

▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。現在は『アッコにおまかせ』(TBS)などバラエティ番組を中心に活躍。
Twitter:@bling2sakura

▽丸川珠代(まるかわ・たまよ)
1971年1月19日生まれ、兵庫県出身。自由民主党所属の参議院議員。2007年初当選。環境大臣、オリンピック・パラリンピック担当大臣などを歴任。夫は衆議院議員の大塚拓氏。
CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/松山勇樹


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