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UPDATE|2022/10/21

制作費インド映画史上最高97億円、世界で話題の映画『RRR』は日本人のステレオタイプを崩せるか?

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インドと言えばお祭り騒ぎ的な「マサラ映画」というステレオタイプを突き崩そう、海外でもひとつの作品として評価されるものを作ろうと、インド映画界は長年奮闘してきた。その結果として今がある。

しかも今のムーブメント自体がまだまだ過渡期に過ぎない。コロナ過で延期になっていた圧倒的母数のインド映画の超大作が来年から再来年にかけて、一気に市場に流れ込むのだ。そうなれば主要な映画賞も無視はできないはず。そして、それらの作品を世界がどう扱うかも大変興味深い。

今作の上映館数は210超え。近年、日本で公開されたインド映画『ハーティー 森の神』や『スーパー30 アーナンド先生の教室』が、小規模だったことと比べると快挙と言える。それだけ日本でも期待されているということの証拠でもあるし、それを可能としたのも、ラージャマウリ作品ファンの熱量が高かったからだろう。

『RRR』は間違いなくインドだけに限らず、世界の映画史に残る傑作だ。今作がヒットすれば、日本におけるインド映画輸入率が見直されることは間違いないだろう。しかし、それが必ずしも良いことばかりとは限らない。

それはこれまでの日本におけるインド映画の宣伝が、ぶっ飛んだ部分ばかりが取り上げられがちだったからだ。もちろん、インド映画はみんなで騒いで観るような作品ばかりではない。今後、輸入される作品が、そういった目線で選んだ作品ばかりになってしまえば、ステレオタイプはさらに助長され、長期的な視野で見た場合、インド映画の日本普及は逆に遅れる可能性もある。

今作が入り口となるのは大いに嬉しいことだからこそ、様々なジャンルの作品がバランス良く輸入されることを心から望むばかりだ。

▽『RRR』
舞台は1920年、英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、立ち上がるビーム(NTR Jr.)。大義のため英国政府の警察となるラーマ(ラーム・チャラン)。熱い思いを胸に秘めた男たちが”運命”に導かれて出会い、唯一無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに、それぞれの”宿命”に切り裂かれる2人はやがて究極の選択を迫られることに……。
10月21日(金)全国公開

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