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UPDATE|2023/01/16

「電線が教えてくれたこと」電線愛好家・石山蓮華が芸能界での“違和感”から解き放たれるまで

撮影/たむらとも


徐々に「電線好き」として知名度が広がり、『タモリ倶楽部』には電柱派として出演、日本電線工業会から電線アンバサダーに任命されるなど、自身と電線を世の中にPRするチャンスは広がってきた。

とはいえ、電線は景観を損なう「邪魔者」として地中化も叫ばれてきた。こうした長年の風潮には、少数派としてこんな率直な思いも。

「もちろん景観をどう感じるかは個人の感性です。電線地中化のモデルケースとして欧米の都市と比較したり、『青空を取り戻す』みたいに言われることがありますね。ただ、欧米では早くから電線を地中に通したのに対し、日本は結果として地上に電柱を立てる選択をして、その光景が定着してきたのも確かで、現代の映画やアニメやマンガでも電線はしっかりフレームの中で存在しています。地上にあるので、感電を防ぐ被膜の技術も高度なものになりました。そうした経緯が顧みられないまま『青空を取り戻す』という言葉で片付けられてしまうのを見ると、社会を支えてきた電線や、それが当たり前だった昭和や平成の情景にももっと思いを寄せてもらえればなと思ってしまいます。

地中化にメリットがあることも理解していますが、単に電線や電柱をなくせばすぐに綺麗な街になるのか、地中化だけが都市の景観をよくする最適解なのかというと、私はちょっと違うのかなと思っています。私にとっては大好きな電線ですが、イメージは必要以上に悪者にされているのかも」

電線が地中化されてもその存在は感じ取ることができる。地上に箱型の「PT」と書かれた物体があったらそれは地上用の変圧器で、地下を電気が通っている証拠だ。取材場所近くの通りにもこの変圧器があり、目に見えなくても電気を届けてくれているそうだ。

電線愛好家を肩書にして以来、高所作業車に乗って電線を間近で眺める電線ファンならではの夢も実現。趣味と仕事がつながり、マルチに才能が開きつつある。

▽石山蓮華(いしやま・れんげ)
1992年10月22日生まれ、埼玉県出身。一般社団法人日本電線工業会 電線アンバサダー、電線愛好家・俳優・文筆家
Twitter:@rengege
Instagram:renge_ge

【後編はこちらから】視界に入っているのに気づかれない…女優 石山蓮華が語る「一生をかけても追いきれない電線の魅力」
AUTHOR

高史 大宮


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