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UPDATE|2023/04/01

ヴィジュアル系の母、東海林のり子のバンギャ人生を雨宮処凛が深堀り「88歳で現役」

東海林のり子、雨宮処凛 撮影/松山勇樹



「この前のLUNA SEA行った?」

顔を合わせるなり東海林さんが口にしたのは、現役バンギャそのままの言葉だった。そう、バンギャにとってはライヴに「参戦」したかどうかが挨拶代わり。「この前のLUNA SEA」は行けなかったものの、昨年のSAITAMA SUPER ARENAには行ったことを伝えると、「私も行った!」と即答。そうして「プレゼントがある」と渡してくれたのは、目薬の袋。中には輪ゴムで止められたテープ状のものが入っている。広げてみると「Lunacy 黒服限定GIG 2022 12.17.18 SAITAMA SUPER ARENA」と書かれた銀テープではないか! ライヴの最中、”バン!” という音とともに客席に放たれ、みんなが手を伸ばすアレである。

「うちに3本くらい吊るしてあるから、絶対喜ぶなと思って持ってきたの」

さすが東海林さん、バンギャが一番喜ぶものをわかってらっしゃる!!

ということで、まずは10代からの頃の感謝の気持ちをお伝えした。東海林さんのおかげで、どれだけのバンギャがヴィジュアル系=不良という偏見や親の無理解から解放されただろう。東海林さんは言う。

「番組でXを取り上げるようになったら、女の子たちから手紙をもらうようになったの。その中に、『母がライブに行っちゃいけないって言うけど、どうしても行きたい』っていう内容のものがいくつかあって。当時は手紙に住所も電話番号も書いてあったから、取材の合間に電話したの」

まさかの直電である。

「そうしたらその子が出たんで、『ちょっとお母さん呼んで』って代わってもらったの。それで、ライブっていうのは全身全霊で応援するから、あの子たちはホールを出たら足を引きずって歩けないくらいになってるんです、そのくらい夢中になってるから、不良になるなんて想像できないって言ってあげたの」

「現場の東海林」からの臨場感溢れる報告は、多くの親の態度を変えたようだ。

「今でもライブに行くと『東海林さんが電話をくれて母親と話してくれたのでライブに行けるようになりました』って言われることがあります。そう言ってくれるのはすごく嬉しい! みんな成長して、お子さんができていたりね」

それにしても、なぜ東海林さんはバンドにハマる若者たちをあたたかい目で見てくれていたのだろう。当時、全身黒ずくめなどのヴィジュアル系ファンの少年少女に向けられる大人の視線はひたすらに冷たかった。


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