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UPDATE|2023/04/01

ヴィジュアル系の母、東海林のり子のバンギャ人生を雨宮処凛が深堀り「88歳で現役」

東海林のり子、雨宮処凛 撮影/松山勇樹



「あの頃は少年事件がいっぱい起きてる時だったんですけど、ライブではちょっと悪そうな子なんかも夢中になって応援してるんですね。そういう姿を見ると可愛いなって。ひとつのことに夢中になってれば、悪いことしようなんて思わない。何かに夢中になることが、その子なりの将来とか人格を作ってると思うの。それに武道館なんかだと、みんな地方から電車賃を払って来る。コスプレの子は、家からコスプレのまま来ることもある。『電車なんかでジロジロ見られるけどここまで来ました』なんて言われると、『頑張ったね! あなた勇気あるね、素敵よ!』って言ってあげるの」

なんだか泣きそうになってきた。励ましは、バンギャに対してだけではない。

「ヴィジュアル系のライヴに行くと、帰り際、道端でこれから出ていく子たちがチラシ配ってるでしょ?」

アイドルなどの現場もそうだと思うが、武道館など大きな会場でライブがある時は、その客目当てにそこまでは売れていないヴィジュアル系ミュージシャンたちがチラシを配る姿がある。

「寒空の下、立ってるじゃない? そんな子たちを見ると『ちょうだい』ってチラシ貰いに行って、『いつデビューするの?』って聞くの。『まだなんです』って言われたら、『頑張ってね、デビューしたら取材してあげるから!』って。すごく喜んでくれるんですよ」

これが東海林さんが「ロッキンママ」と慕われる所以である。そんな東海林さんがXに出会ったのは50歳頃。50代で多くのミュージシャンとの付き合いが生まれ、人生が変わっていくなんて最高じゃないか。美しい彼らに囲まれるだけで絶大なアンチエイジング効果もありそうだ。

ちなみにXに出会う前は、何かを熱烈に応援したり……今でいう推し活……という経験は皆無だというから、人生何が起こるか本当にわからない。

▽雨宮処凛
バンギャやフリーターなどを経て、2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。06年から格差・貧困問題に取り組み、取材、執筆、支援活動を行い、メディアなどでも積極的に発言をしている。07年に出版した『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版/ちくま文庫)ではJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。著書多数。新刊『学校では教えてくれない生活保護』(河出書房新社)が絶賛発売中。

【後編はこちら】88歳でイケメン、BL、韓ドラにドハマり…東海林のり子「歳を取るってつらいことじゃない」

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