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UPDATE|2023/07/05

実写化成功のさらなる高みへ…“原作超え”と謳われた実写映画4選

『ピンポン』/『DEATH NOTE』/『容疑者Xの献身』/『リング』



映画『リング』といえば、ジャパニーズホラーの金字塔とも言える作品。そして怪現象の元凶・貞子がテレビから這い出てくるクライマックスシーンと、長い髪の間から覗かせるギョロついた目は多くの人々が恐怖したはずだ。

だが実は同作の原作小説は、映画と比べてホラー要素が薄い。どちらかというと貞子にまつわる謎を解き明かしていく、ミステリーに重きを置いたストーリーだった。ちなみに貞子がテレビの中から現れるシーンは、原作にはない映画オリジナルのもの。

同作の監督を務めたのは、1996年公開の映画『女優霊』や2002年の『仄暗い水の底から』など、ジャパニーズホラーを語るうえで欠かせない中田秀夫。『リング』は、そんなホラー映画を作り続ける中田監督の手腕が存分に発揮された作品といえる。

映画化にあたり、ミステリーからホラー路線へと振り切った結果、不気味な雰囲気や数々の名シーンが生まれることに。中田監督のアレンジがなければ、今の『リング』はなかったかもしれない。

また、原作『リング』の続編である『らせん』『ループ』を読むと、貞子にまつわる驚きの事実が明らかになる。気になった人は、ぜひ小説も読んでみてほしい。

2002年に公開された映画『ピンポン』は、『鉄コン筋クリート』で知られる松本大洋の人気コミックスを実写化したもの。卓球を愛する天真爛漫なペコと、幼なじみのスマイルをメインに、卓球に青春をささげる少年たちの姿を描いた作品だ。

映画監督には曽利文彦、脚本を宮藤官九郎が務めており、コミカルでテンポのいいスポ根ものとなっている。またキャスティングも窪塚洋介、ARATA、中村獅童などの個性的かつ確かな演技力を兼ね備える俳優陣が揃っており、ピンポンの癖のある世界を見事に表現していた。

同作の見どころはなんといっても、VFXを駆使した迫力のある試合シーンだろう。実は『ピンポン』に登場する卓球の球は、9割がCGによって作られている。それを知ったうえで観返してみても、全くわからないからなおさら凄い。

そのため試合シーンの収録は、ラケットを素振りして撮影。曽利監督によれば、俳優たちには2カ月ほど素振りの特訓をしてもらったそうで、2002年に掲載された「映画.com」のインタビュー記事で「あの素振りの迫力と美しさがすべてでしたね。球がない中で撮影してたわけですけれど、その時点でほとんど完成品に近い絵ができてました」と語っていた。

また『ピンポン』は映画本編だけでなく、作品とマッチした劇伴や、ロックバンド・SUPERCAR(スーパーカー)による主題歌『YUMEGIWA LAST BOY』なども魅力の一つ。今なお多くの人から支持されている作品で、ファンの間では「漫画実写化の成功例」「実写化映画屈指の出来」として語り継がれている。

現在公開中の映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』や『東京リベンジャーズ』など、漫画や小説を原作とする実写映画が次々と公開されている昨今。次はどのような作品が“原作超え”と評されるのか、今後の映画業界に期待しよう。

【あわせて読む】新作映画も好調、『岸辺露伴は動かない』にみる“実写化成功”のカギ

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