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UPDATE|2023/07/14

キュウリ一枚で20回やり直しも『晩酌の流儀2』フード担当が語る人気グルメドラマの妥協なき裏側

写真提供/(C)「晩酌の流儀2」製作委員会


――『好感度上昇サプリ』や『週末旅の極意』出演など俳優業と並行し、フードコーディネーターとしても活躍しています。調理師免許もお持ちですが、どういう経緯でこの形に?

藤代 高校卒業後に料理の専門学校に通い、フランス料理のレストランに就職したのですが、元々、俳優をやりたいと思っていて…。いろいろなきっかけがあって俳優になりましたが、やはり最初は仕事がないのでバイトしないといけない。社員として働いていた店で、仕事は変わらないけどバイト扱いにしてもらったほか、いろんな店でバイトして料理の仕事を続けていました。

――仕事としては俳優よりも、料理が先だったんですね。

藤代 アルバイトを卒業できたあたりから、仕事で繋がりのある方のお宅で料理をする機会ができました。僕は茶道もやっていて、料理だけでなくお茶を点てて振舞うなどしているうち、少しずつ「なんかすごく料理ができる俳優がいるらしいぞ」って口コミが広まって…。

その頃、仲の良い柴田啓佑監督が『ゲキカラドウ』を撮ることになり、「ちょっと試作が難航していて、太一は料理できるから現場を見においでよ。アイデアがあったら出して」みたいな話で、試作の現場に行ったんです。そこで料理しながら、アイデアをペラペラ話していたら、松本拓プロデューサー(以下、松本P)が「俳優じゃないの?」「実は料理人もやっていて…」「じゃあ手伝ってよ」という会話になって、フードコーディネーターの仕事を始める形になりました。

――飲食店の料理人とドラマのフードコーディネーターだと、勝手が違う面はないですか?

藤代 台本から段取りを汲み取る、ドラマならではの部分はありますが、大量の仕込みは慣れているし、現場の状況に合わせる臨機応変さも“お客様のちょっとしたムチャ振りに応える”のと同じ感覚です。レシピ開発も僕が働いていた店では、新人からベテランまで参加するメニューコンペがありました。レストランでの叩き上げの経験はノリが合うというか、通じる面が多い気がします。

――“俳優でもある”ことが、フードコーディネーターの仕事に役立っている点は?

藤代 料理を作る際の演技説明では「なぜこの調理工程があるのか?」と、“作業”ではなく“演技”として考えやすいよう意識して説明します。あとはカット割りから逆算して「この後、食べるシーンが3回あるよ」とか、「ここは手元だけだから、実際に食べなくても大丈夫」と知らせたり、俳優が食べるシーンの料理はリアクションしやすいように、見た目より味つけを重視したり…。同じ役者の立場から“演じやすいように”と、工夫することは多いですね。
AUTHOR

鍬田 美穂


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