齋藤 おまけに役人も嫌いだったんだよ。ただ、見学に行った通産省で会ってくれた先輩たちが熱くて、面白い人たちで。ここで仕事をしたいなと思った。だから、官僚になりたかったというよりも、通産省で働きたかったんだよね。
井上 なるほど。
齋藤 そうして結果的に官僚と呼ばれる側になり、政治を間近に見るようになってみたら、日本の将来が大変になっていくような課題が山積であることが見えてきた。何とかするには、政治がもう少ししっかりしないといけないと思うようになっていった。これは「政治家が嫌い」とか言っている場合じゃないな、と。
井上 自分がなるしかないな、と?
齋藤 そこまで傲慢な気持ちでもないかな(笑)。なろうにも、何もないから。親が政治家だったわけでも、お金があるわけでも、知名度があるわけでもない。チャンスがない中で、あるとき、自民党が候補者を公募で集めたんだよね。それで手を上げ、選挙に出た。ただ、最初は落選しちゃったんだけどね。
井上 2006年の補欠選挙ですね。995票差だったと聞きました。
齋藤 僅差でも落選は落選。そこから3年4カ月の浪人生活です。
井上 その間の収入や生活の不安はなかったんですか?
齋藤 いきなり核心を聞いてくるね。もちろん、あったよ。不安もいいところ。
井上 そうですよね。
齋藤 落選した時点で、ほとんどの蓄えを選挙のために使っていたからさ。子どもの学費を払う段になって「ない!」と。
井上 いやー……、大変。