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UPDATE|2019/08/10

働き盛り40代後半で定職なしに…齋藤健・前農水相が語る「議員浪人中の“極まった”生活」

左から齋藤健、井上咲楽 撮影/荻原大志



井上 2009年の衆議院議員選挙では、自民党が大敗。政権交代が起き、野党になりました。そんななか当選できた秘訣はありますか?

齋藤 秘訣はないよ。根性だね。候補者のやることは小さな違いこそあっても、みんないっしょだから。朝、駅前に立ち、集会を開き、会合に顔を出す。どれだけ1つひとつを徹底できるか。浪人中、毎朝、駅前に立っていた。普通の候補者は8時で引き上げる。通勤ラッシュが終わるからね。でも、僕は8時半まで立った。会合での挨拶も、「絶対に笑いを取る」という決意のもとでやる。その場の思いつきで話さない。差が出るとしたら、それはすべて徹底の度合いの差だよ。

井上 ちなみに、当選3期目という早さで農林水産大臣に抜擢された要因はどこにあると思いますか?

齋藤 それはね、大臣になる前に2年間、農林水産副大臣を、その前の2年は自民党農林部会長を務めた。じつはこの間、JA改革、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の交渉をはじめとして大揉めに揉めた厳しい仕事に携わってきた。その仕事ぶりを見て、安倍さんが「総仕上げを大臣で」と考えてくださったんじゃないかな。当選回数よりも、それまでの4年間との継続性を大事にしてくれたのだと思っている。

井上 でも、去年9月の自民党総裁選で石破派の齋藤さんは、現役閣僚の中で唯一、石破茂さんを支持しました。あのときの周りの雰囲気はすごかったんじゃないですか?

齋藤 大臣はみんな安倍さんに任命してもらっているわけだからね。それは空気悪くなるよ。でも、どうってことない。面白かったよ。

井上 私だったら、圧力に負けちゃうだろうなと思うので、「面白かった」と言えるハートの強さがすごいと思います。

齋藤 まあ、政治の世界ではよくあること。大事なのは、自分が信念を持って「これだ」と思うことをやり抜く姿勢。それを他の人がどう見るかなんて関係ないよね。私がなぜ、石破さんに入れたかと言うと、元々石破派なのはもちろんあるけど、あの総裁選では石破さんの負けが決まっていたから。自分の親分の負けが分かっているなら、逃げられないでしょう。理由はそれだけ。何の迷いもない(笑)。討ち死にするなら、討ち死にでいいじゃないか。美学だよ。

井上 かっこいいです。

齋藤 まあ実際、討ち死にしたんだけどね(笑)。

CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/荻原大志


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