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UPDATE|2019/08/10

働き盛り40代後半で定職なしに…齋藤健・前農水相が語る「議員浪人中の“極まった”生活」

左から齋藤健、井上咲楽 撮影/荻原大志



井上 大臣を経験して良かったことはありますか?

齋藤 2つあるね。雨の中にもビラを配り、いつも応援してくれた人たちが本当に喜んでくれたこと。「よくやった!」と涙を流す人もいて、少しは恩返しができたのかなと思った。もう1つは、大臣を経験したことで、ポストが欲しいがために自分を曲げるようなことをせずやっていけるようになったたこと。もし、一度も経験せず、年齢を重ねていったら大臣になりたい……と忖度するような場面も出てきたかもしれない。でも、重要閣僚をやったからこれで十分。あとは忖度せずに思い切ってやっていける(笑)。

井上 徹底すること。自分で決めたことを貫く姿勢には、ハンドボール部時代の経験が生きていますか?

齋藤 確かに、土台にはなっているかな。大学1年生のとき、自分の目の前で関東大学リーグの3部から4部に落ちた。僕は1年の秋のリーグ戦からレギュラーとして試合に出始めて、3年生の後半で2部に引き上げ、1部との入れ替え戦に出るまで強くした。主将としてチームをまとめながら、いろいろ学んだよね。

井上 と言うと?

齋藤 例えば、自分たちより少し弱いチームと試合をするときが一番怖い。なぜなら、自分たちが少し油断するから。逆に向こうは「何とかひっくり返してやろう」と気合が入る。この気持ちの差が怖い。だから、自分たちより弱いチームとやるときに、どうやってチーム全体を試合に向けて集中させるかに気を配った。強いチームとやるときは勝手に「よし、やってやろう!」となるからね。これは選挙でも同じでさ。有利と言われる選挙ほど、注意しなくちゃいけない。仕事も同じ。

井上 少し弱い相手を前にすると気持ちが緩んでしまうのは、よく分かります。私はバレーボール部だったんですけど、最後の試合で負けた原因がまさにそれでした……。

齋藤 チームプレーでは、どうしても自分がやらなくちゃいけない場面が出てくる。苦しい場面で、人に頼る気持ちが出てくるのは人情だけど、それはダメ。「あいつの分もカバーしてやる」って気持ちでいかないと。そういう集中力を1人ひとりがきっちり発揮できれば、いい試合になるから。だけど、どうしても他力本願になるんだよな。「ここで手を抜いても、相手のシュートをキーパーが止めてくれるかもしれない」と。人は自分に甘いからね。そこで徹底できるかどうか。

井上 なるほど。

齋藤 スポーツでも、政治の世界でも、井上さんの仕事でも、差が出るのはそこ。「頑張ろう」「全力を出そう」と響きのいいことを言うのは簡単。だけど、実行できるかは別問題だよね。人間1人ひとりの発想は、大きく違うわけじゃないから。考えを徹底できるか。一瞬一瞬の選択の結果で、人生が決まっていく。つまり、一瞬一瞬が勝負だと思って徹底してやっていこう。話していたら、ハンドボールやりたくなってきたな。

(『月刊エンタメ』2019年9月号掲載)

「取材を終えて」~井上咲楽の感想~
参院選関連の取材中、齋藤さんのように大企業を辞めて出馬した候補者に出会いました。そういう人生を懸けている人の気持ちを伝えられるように、使命感を持って取材をしていかなければと気が引き締まったイノサクです。質問に対してうまく避けて答える政治家の方に悔しい思いをすることも多いですが、齋藤さんをはじめ石破派のみなさんは本音っぽく話してくれるので、話しやすかったです。

齋藤議員が <新たに選挙権を得た若い世代> に読んでほしい1冊

『ローマ人の物語』(塩野七生 著/新潮社 刊)
オススメは、歴史上の人物について詳細に書かれた本。その時代を築いた人間の判断や生き方について学べるし、刺激を受けるよね。例えば、塩野七生さんの『ローマ人の物語』はいいかもしれない。古代ローマは今と制度こそ違うけど、政治の勉強にもなる。そこで彼らが、どういう判断をしていたのか。読むなら簡単な本よりは、難しい本がいいと思います。難しい本ということは詳細に書かれているということで、読むと判断力の訓練になるんじゃないかな。

▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。現在は『くすぐる』(テレビ愛知)などにレギュラー出演中。
Twitter:@bling2sakura

▽齋藤健(さいとう・けん)
1959年6月14日生まれ。東京大学卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2009年に初当選。2017~18年に農林水産大臣を歴任。
CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/荻原大志

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