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UPDATE|2023/11/02

窪塚洋介が語る息子・愛流へのメッセージ「勉強はいい、本だけは読め」 『火の鳥』で声優初挑戦

窪塚洋介 撮影/佐賀章広

世界中で敬愛される漫画界の巨匠・手塚治虫の代表作でありライフワークでもあった『火の鳥』。その望郷編が『火の鳥 エデンの花』として初のアニメーション映画化され、11月3日に劇場公開される。制作期間7年という年月をかけてSTUDIO4℃が完成させた、この壮大な愛と冒険のスぺクタル巨編でアニメ声優に初挑戦した窪塚洋介。本作にかける思いや、手塚作品について、そして本作品のテーマでもある「愛」を語ってもらった。

【写真】『火の鳥』でアニメ声優初挑戦する窪塚洋介の撮り下ろしカット【6点】

『火の鳥 エデンの花』は、わけあって地球から逃亡してきたロミ(声:宮沢りえ)と恋人のジョージ(声:窪塚洋介)が、荒涼たる辺境惑星エデンに降り立つところから始まる。新天地に辿り着いた未開の地で苛酷な生活を送りながらも、互いを慈しみ労わり合って暮らすふたり。ところがある日、不慮の事故でジョージは命を落としてしまう。残されたロミが一人息子のカインのために選んだ道は――。

「声優をやりたいなって思ってたんですよ。まさか最初の仕事が手塚先生の作品で、STUDIO4℃さんの制作のものとは思ってなかったんで『俺、持ってんな』ってちょっと思いました」と感慨深く漏らす窪塚が、手塚治虫作品に初めて出会ったのは小学校高学年の頃。友人の家にあった『火の鳥』だったという。

「今って我々もまぁまぁ危機感を持ってるじゃないですか。地球、大丈夫かなって。それを、バブルもまだ始まってないような時代に、警鐘を鳴らさなきゃって描きだしたことが、もう凄いですよね。あの壮大なテーマ、命とか宇宙とか人とかの真理と神秘を、漫画っていうエンターテインメントの手段でメッセージしてくれて。醜い鼻を持って何世代も生きるとか、時に残酷な表現も込みで、子ども心にトラウマになるようなエピソードを添えて届けてくれて、手塚先生は本当に偉大な人だと思います」

自らが声をあてたジョージというキャラクターに「若気の至り」というコメントを寄せた窪塚。若い頃の自分に重なり共感する部分があるという。

「かつては、(若気の至りを)まき散らしてましたよね。『世界を良くしたい』って思いに、嘘はなかったと思うんだけど、今思うとやっぱりポーズの部分もすごくあったなって思う。例えばボブ・マーリーやジョン・レノン、先人たちが世界を良くしようとしたことへの憧れやかっこよさを意識してた。彼らを真似して、中身がないのが一番ダサいってわかってるから、自分の言葉でしゃべろうとはしていたけど、その行為自体が若気の至りだったと思う。今はもっと身近なところで、ひとりひとりがやらないと世界はなかなか変わらないって思っていて。自宅でコンポストを始めたりしたんですけど、そういう行為の積み重ね、すごいさりげないことや他愛のないことでも、70億人が出来た時には変わるよねって」

ほどよい具合に肩の力が抜けた様子で、自らが演じたジョージというキャラクターについて語る窪塚だが、一方で運命に振り回されてもなお強く生きるロミには、妻を重ねる。


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