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UPDATE|2019/10/27

石破茂 元防衛相の考える「自民党政権の危うさ」と「地方創生の大切さ」【井上咲楽の政治家 直撃】

左から井上咲楽、石破茂 撮影/荻原大志



井上 一方、今、野党は散り散りになっている印象があります。石破さんはどう思われていますか? 

石破 衆院選の小選挙区で野党がばらばらになっていたら、勝てません。定数1なわけだからね。自民党と公明党の連合軍に対して、立憲民主党あり、国民民主党あり、共産党ありとばらばらの候補が出ていては、票もばらけてしまいます。政権交代を目指すなら、いかに与党に勝つかという点にエネルギーを集中して野党がまとまらなくてはいけない。ところが、現状は野党同士でケンカすることにエネルギーを費やしているように見えます。それでは自民党に勝てないんじゃないの? という印象を受けるのは私も井上さんも同じだと思います。

井上 そうですね、それは思います。

石破 その一方で、本当に「自民党を積極的に支持しているか」という問題があるんです。私は国会に議席をいただいて34年目、長い方から数えて13番目になってしまって、もうベテランです。幹事長も2年間やって、いろんな選挙を手掛けてきたけど、残念なことに投票率は下がっていく傾向にあります。最近は5割くらいが当たり前になってしまった。それはつまり、小選挙区では、5割の投票率の×5割、全体の25%の票を取れば勝ててしまう。今も昔も自民党の全有権者に対する得票率は25〜30%といったところです。積極的に自民党を支持している人はそれだけしかいない、とも言える。それでも議席は7割以上取っているわけです。

井上 積極的な支持者は投票に行き、行かない人がどれだけ批判しても……というもどかしさは確かに選挙のたびに感じます。

石破 極端に言うと、今の与党は3割に満たない支持で7割の議席を持っているんですよ。これは個人的には「怖いことだなあ」と思っています。どうせ政治なんか変わらない。私が1票入れても同じ。そう思っている人たちが違う行動を取ったとき、自民党は負けます。実際に何度か体験していますが、一番強烈だったのは今から13、14年前。小泉さんの後、第一次安倍内閣があり、「消えた年金問題」などがあって、参議院選挙では過半数割れの惨敗。いつもは自民党に入れている支持者の人たちが旧民主党に票を投じた。そうすると、自民党が減った分、向こうは増えるから、結果はがらりと変わってしまうわけ。

井上 今後、同じような展開はあり得ると思いますか?

石破 野党が本当に内輪のケンカをやめて、「これならば一本化できる」という点を見出だせたら可能性はあるのでしょう。 “小異を捨てて大同に就く”という言葉があるけれど、野党がある程度まとまって、自民党に対する批判が強くなれば、バタバタと負けることは起こりえます。だからこそ、私たちはどんな逆風が吹いても選挙に強い自民党を作っていかなきゃいけない。そう思っています。

CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/荻原大志


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