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UPDATE|2019/11/17

「まるで夜逃げだった」小野寺五典 元防衛相に聞いた議員辞職の夜【井上咲楽の政治家 直撃】

左から小野寺五典、井上咲楽 撮影/松山勇樹 



井上 当時の出来事で一番印象に残っていることは?

小野寺 夜逃げするように議員会館を出たことですね。

井上 えっ、夜逃げですか?

小野寺 選挙で負けた場合、同じく落選した議員の事務所が何か所もあり、同じ時期に荷造りをしますよね。でも、辞職の場合、たった1人です。どうしても目立ちますし、メディアも好奇心で追ってきます。これ以上さらし者になりたくないという思いが強くて、夜中に一気に出たのを覚えています。

井上 具体的には何時くらいに?

小野寺 22時から深夜にかけて荷造りして、車に全部乗っけて。公共交通機関も使いたくなかったので、夜中の東北道をそれこそ隠れるように地元に戻りました。

井上 本当に夜逃げだ……。

小野寺 以来、しばらく表に出ませんでした。比喩ではなく、しばらく布団かぶって寝ていましたから。ニュース番組は政治の話題が出るので観たくないから、すぐチャンネルを変えて。人生で一番バラエティ番組を観ていた時期かもしれないですね。

井上 戻った後、地元の方々の反応はどうだったんですか?

小野寺 何となく腫れ物に触るような感じだったと思います。当事者の自分は用事があって外に出るとみんなが見ているように感じていましたが、実際はそんなことなく、温かく見守ってくれていたというか。「何でお盆にお線香持って一生懸命回っちゃったんだよ」と。

井上 同情的だったんですね。

小野寺 その後も公職選挙法違反の報道は何度もあったと思いますが、その時々に冗談交じりにこう励ましてくれる方もいました。「憲政始まって以来、物をもらって辞めた政治家は何人もいるけど、物をあげて辞めた政治家はお前が初めてだろ」と。……こんな話でいいんですか?

井上 すごく興味深いです(笑)! その後、2003年に同じ衆議院宮城県6区から再出馬されています。その間、政治の世界を諦めようと思ったことはなかったんでしょうか?

CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/松山勇樹


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