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UPDATE|2020/01/19

「人は変化せずにはいられない、だから…」安住淳議員の考える政治家の“不可欠資質”【井上咲楽の政治家 直撃】

左から井上咲楽、安住淳 撮影/荻原大志



安住 我々、今を生きている人間、過去生きてきた人間はみんなね、前に進むしかないんですよ。今、この部屋にいる私たちも、読者の皆さんも、刻一刻と人生の終わりに向かって爆走しているわけです。その中で、世の中も少しずつ変わっていく。ところが、法隆寺のような仏閣は佇んでいるんです。戦乱の世も、昭和の戦争の時代も見てきた。だから、価値がある。でも、人間は一カ所に佇むことができない。特に20代から30代はさまざまな出会いがあって、誰もが思いもよらない道に行くんですよ。

井上 人生も世の中も変わっていくのが当たり前なんですね。

安住 その変化をできるだけいい方向に向かわせるのが、政治家の仕事。そして、その仕事は国民の未来を拘束してしまうことがあるんですよ。

井上 拘束ですか?

安住 例えば、法律を作ることは、これから生まれる人たちに枷を課すとも言えます。税法を改めれば、それは明日生まれた子が20歳になったときにも影響を与える。だから、私は法案を審議するとき、未来の人たちはどう思うだろうか? と、いつも考える。その想像が大切な1つの判断基準になるんです。いつも未来を予測して、感じとること。それが政治家に欠かせない資質だと思っています。

「取材を終えて」~井上咲楽の感想~
解散が囁かれる中、次期国会はかなり重要視されています。野党の国対委員長として、バランスをとるための葛藤は常にあるということが、インタビュー中に伝わってきました。また、ユーモアにあふれる方で、すごい角度から笑いに持っていかれるのも印象的でした(笑)。昨今の議員さんのスキャンダルについて問うと「国民全員がカメラマンだと思っている」……この言葉、私も使わせてください!

安住議員が <新たに選挙権を得た若い世代> に読んでほしい1冊

『塩狩峠』(三浦綾子 著/新潮社 刊)
『塩狩峠』は国鉄の運転士さんが主人公で、事故が起きたとき、自分の命を捨ててでもお客さんを守ろうとする物語なんです。そこには生々しい葛藤があり、それでも第三者への愛や善意を貫き通した人間の美しさが書かれた小説です。最近は、厄介事が起きているのを見てもやり過ごした方が賢いという風潮があります。対応は公的機関に任せればいい、と。でも、それはいい社会じゃないんです。古い本ですが、若い人にぜひ読んでもらいたい。

▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。現在は『アッコにおまかせ』(TBS)などバラエティ番組を中心に活躍。
Twitter:@bling2sakura

▽安住淳(あずみ・じゅん)
1962年1月17日生まれ、宮城県出身。立憲民主党所属の衆議院議員。1996年に初当選。民主党政権時代は財務大臣などを歴任、現在は立憲民主党国会対策委員長を務める。

(『月刊エンタメ』2020年2月号掲載、文/佐口賢作)
CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/荻原大志


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