──ハロプロきっかけで恋が始まるということもあるんでしょうかね。
犬山 写真集に落書きした若い頃の私じゃないけど、やっぱり彼氏がアイドル好きなのは許せないっていう女の子もいると思うんです。でもそれはアイドル好きの男性への理解の解像度が低いからだと思います。私自身アイドルにハマるまではざっくりこんな感じだよねって雑なイメージがあった。でも、実際自分がハマってみると、「違う違う違う、みんな若い女の子を性的に消費する人じゃない。中にはいるかもしれないけど、誰かを心から応援する気持ちの尊さ!! アイドルが人を惹きつける力!! 救いの場所!!」って。だからその気持ちがわかる人同士ってのはあるのかもしれないですね。
劔 あぁ、でもハロプロは少ないかもだけど、もう少しライブアイドル寄りの現場になると、明らかに出会いを求めて集まってくる若者はいますね。最近だと「ヲタ同士で付き合い始める」みたいな文化も増えているんじゃないですか。
犬山 もし相手がアイドル好きじゃなかった場合は、ぜひアイドル、推しメンの魅力をプレゼンしてほしい! 自分がハマったきっかけもシェアして。そうやって相手の偏見をぶっ飛ばせたらいいですよね。そのために弁を磨く! お互いの好きなことをそうやって理解の解像度高めあえたら最高。
──どうせ付き合いが深くなったら、バレるわけですからね。
犬山 夫婦で共通の熱くなれる趣味があるのも楽しいです。それに好きな音楽が共通しているってすばらしいですよ。だってハロプロの曲を流したら、単純に2人とも楽しくなっちゃうんだもん。
劔 家族で楽しむハロプロって素敵ですよね。仮にここから2人に子供ができたとしても、楽しみが広がるだろうし。
──今後、お子さんがお2人の間にできたとして、それが女の子だったらアイドルにしたいと思いますか?
劔 本人が「やりたい」って言い出したら、僕は応援しますけどね。この人はどうだか分からないけど……。でも、どうせアイドルになるんだったらハロプロにしてもらいたいな。
犬山 それは同意見だけどね。ってなれる前提で話していますが……。でも、表に出る仕事のメンタルへの影響を考えると……いやほんと、我が子じゃなくても、メンバーが傷つくようなことを言う人・描く人は心底嫌いです。人間のメンタル、そんなに強くないんですから……。
劔 そうか。それは厳しいよな~。
──最後に改めて男女でハロプロを楽しむ秘訣を教えてください。
劔 家族やカップルでたしなむコンテンツとして、ハロプロは相当強力だと思うんです。歴史があるから、おじいちゃん・おばあちゃんになっても楽しめるはずですし。ここからハロプロは、さらに宝塚化が進んでいくと思う。僕は死ぬまでハロー!プロジェクトとともに生きていくしかないと考えているんです。もはや生涯をかけた趣味ですよね。
──すさまじい覚悟ですね(笑)。
犬山 夫の「ヲタク道」を究めようとする姿勢も美しいと思いますし、人として尊敬できる。妻から見ても輝いています。
(取材・文/小野田衛)
▽劔樹人(つるぎ・みきと)
1979年5月7日生まれ、新潟県出身。ベーシスト、漫画家。大阪在住中にハロプロにハマり、その時代のハロプロとともにあった遅い青春を自伝的コミックエッセイ『あの頃。男子かしまし物語』(イースト・プレス)が2021年に映画化決定。劔役を松坂桃李が演じることで大きく話題を呼んだ。
▽犬山紙子(いぬやま・かみこ)
1981年12月28日生まれ、宮城県出身。コラムニスト、エッセイスト。『負け美女』(マガジンハウス)『地雷手帳 嫌われ女子の50の秘密』(文春文庫)など著書多数。コメンテーターとしてTV出演も行っており、『スッキリ!!』(日本テレビ系)では金曜レギュラーコメンテーターも務めている。YouTubeで『One・Two・Three』(2012年)のMVを観たのをきっかけにモーニング娘。にハマり、以降、ハロプロの熱烈なファンに。