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UPDATE|2023/04/23

『だが、情熱はある』に見る、実在する人物を演じることの難しさと高橋&森本の覚悟

『だが、情熱はある』(日本テレビ)公式サイトより



森本は『ZIP!』(日本テレビ系)内のミニドラマ『泳げ!ニシキゴイ』では錦鯉の長谷川を演じた。脚本や演出など共通のスタッフが多くいることから、今回の森本の抜てきは『泳げ!ニシキゴイ』での功績が関係しているのだろう。長谷川を演じる際はスキンヘッドのかつら、今回は山里のトレードマークであるフレームの小さい赤いメガネの力を借りつつ、しっかりと役をつくりこんでいる。高橋は見た目で寄せることが難しいながらも、雰囲気とオーラ、話し方、しぐさなどで見事に若林をつくり上げている。

実在する人間を演じるのは、視聴者にもある程度共通のイメージがあるからこそ容易ではない。批判がくるのも覚悟のうえだ。そんなプレッシャーもあっただろう本作で、演技にとどまらないさまざまな経験を積んだ若手俳優たちが、めきめきと演技力をつけてきていることが明らかになったのではないか。高橋・森本に期待をかけたスタッフ陣と本人たちの力が相まって、もうこの2人しか「たりないふたり」は考えられないようになってしまった。

第3話目前だが、2話までですでにこのドラマがキャストやスタッフの“情熱”でつくられていることがわかる。1話のオープニングで「ほとんどの人においてまったく参考にはならない」とナレーションがあったが、高橋や森本の演技から何かを感じ思いを受け取って、過去の自分と重ねてみたり、若林や山里への愛が深まったり、何かしら心を動かされている人が多いのではないか。

それは、やはり若林・山里の半生が“情熱”に満ちたものであったからなのだろう。自分の半生を演じる俳優がいる、それで心を動かされる人がいる。それだけで、2人の半生には答えが出ている気がする。

※高橋海人の高は正しくは「はしご高」

【あわせて読む】『だが、情熱はある』があぶり出す蓋をしてきた葛藤、自意識と向き合う勇気はあるか?

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