恐らく同エピソードの中でのぞみやりんが口にした“プリキュア”は、子ども特有の全能感の象徴なのだろう。しかし大人になるにつれて、自分ではどうにもできない壁に直面して現実を知っていくことは、元プリキュアの彼女たちに限らず、多くの人が経験することだ。
そんな大人ならではの苦悩を「なんとかなるなるー!」が口癖だったのぞみが語るシーンは、かつて『プリキュア5』を視聴し、今や大人になった視聴者の胸にこそグサッとくるものがある。
ちなみに厳しい現実に直面しているのは、のぞみだけではない。彼女のことを慰めてくれたりんもまた、仕事がなかなか上手くいかず、「頑張ってもそれが報われるとは限らないんだよね……」とこぼしていた。
また他のプリキュアメンバーに関しても、どれだけ頑張っても評価してもらえない春日野うらら、上司からパワハラ&サービス残業を強いられる美々野くるみ、メンバーの中で唯一夢を叶えられていない秋元こまちなど、それぞれが何かしらの悩みを抱えている。
大人になれば誰もが直面する悩みや現実の厳しさを等身大に描いた『オトナプリキュア』は、まさに“大人のため”のプリキュアだろう。
自分ではどうしようもない壁に直面した時、頑張っても頑張ってもその努力がなかなか報われない時、周りと自分を比べて自己嫌悪に陥ってしまった時、彼女たちはそれらの問題をどう乗り越えていくのか……。
“大人になってもなんとかなるなるー!” かつてみんなの希望を守るために戦ってきたプリキュアたちは、大人たちの背中を押してくれる“希望”となるかもしれない。
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