蓮舫 ドキュメンタリー番組を通して子ども問題に向き合っていましたが、仙谷さんから「そういう問題はテレビからだけでなく、法律でも解決できる。外から見るんじゃなくて、中から変えないか」と言われたのが、刺さったんですよね。そのお話をいただいたのが2004年の3月で、その年の7月の参議院選挙に出たので、「政治の世界はリスクがある」なんてまったく考えてなくて。むしろ、私にとってリスクがある選択だったのは芸能界で生き残ることだった。
井上 「もし私だったら……」と考えたら、新しい世界に打って出るよりも、「芸能界でなんとか生き残っていきたい」と思っちゃいそうです。
蓮舫 しがみついてクオリティが維持できるかどうか分からないでしょう? だって、取って代わるタレントは掃いて捨てるほどいるから。咲楽さんも分かるでしょう。1年前、テレビ番組で一緒にゲストで出ていた同じランクのタレントさん、今は何人残っている?
井上 ……正直、私も1カ月後、2カ月後どうなっているのか分からないです。仕事がないかもしれない、と不安な中でずっとやっています。
蓮舫 その点、参議院は6年、衆議院は4年の任期があり雇用形態でいったら有期契約です。どっちにリスクがあると思いますか?
井上 確かにそうですね。
蓮舫 私の場合で言えば、テレビでやりたかったことと政界で成し遂げたいことが変わらなかった。1人ひとりの命を守りたい、子どもたちのイジメをなくしたい、この国の無駄遣いや財政を改善したい……。それを法律という制度でやるのか、テレビというメディアでやるのか。
井上 手段の違いなんですね。
蓮舫 そういうことです。どこにいてもリスクはある。だからこそ、自分の中で「私は何をやろうとしているのか」という軸をしっかり持っていれば、どの世界に行っても絶対に大丈夫。