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UPDATE|2019/04/30

1人じゃないから 異色の新人アイドル金澤有希「それでも私がアイドルを続ける理由」(後編)

SUPER☆GiRLS 金澤有希 撮影/河野陽太


──GEM結成と金澤さんのメンバー選抜は、ちょうどその頃ですよね。

金澤 GEM入りを目指していたから、もちろんすごくうれしい話ではあったんですけど、これまた苦労の連続で……(苦笑)。私以外のメンバーは全員がアカデミー生や、レッスンに通っているメンバーばかりだったんです。「3歳から歌って踊っていました」とか、本当にそんなメンバーしかいないんですよ。そんな中、私ときたら芸能経験こそ長いものの……。

──他のメンバーからしたら、「あの人、小5からアイドルやっているらしいよ」みたいな目で見られるでしょうね(笑)。

金澤 そうそう。だけど実際にスタジオに入ったら、まるでポンコツだから「……はぁ?」みたいな(笑)。さらに私は年齢的に一番上だから、リーダーになったんですよね。GEMは「200%ダンスボーカルアイドル」というキャッチコピーがついていて、グループとしては完全にパフォーマンス重視なんです。なのにそのリーダーが、一番重要な部分でみんなを引っ張ることができない。さすがに自分の存在意義を考えちゃいますよね。最終的にはそれ以外の部分……自分がアイドル活動で経験してきたことをメンバーに教えていましたけど。ファンの人への感謝の気持ちの伝え方とか、活動を続ける中でモチベーションを保つ方法とかですね。でも、最初はどうすればいいのかわからなかったです。

──アイドルってグループによって力を入れるポイントがまるで違いますよね。今までの経験を活かすというのは、意外に簡単ではないかもしれない。

金澤 でも、言い訳はできないですから。ある日、スタッフさんに「結果がすべてだから。やらないんだったら、いらない」と話をされました。もう私、そこで大泣きですよ。それは怒られたことが悔しいとかじゃなくて、自分に対する情けなさですね。「こんなんじゃダメだ、私!」って感じ。それで夜中の間、ず~っと1人で踊っていたんです。当時GEMがいただいた『Speed up』という曲を、ひたすら延々と。そうしたら今度は自主練習のしすぎで疲労骨折しちゃって(苦笑)。いきなり、あばらの骨をボキッとやってしまったんです。それまでの私は努力すれば報われると信じて頑張ってきたけど、世の中には努力だけじゃどうにもならないことがある──。神様にそうやって宣告された気分でした。

──「神様は私が自主練することも許してくれないんですか?」って呪いたくもなる(笑)。

金澤 練習したところで、結局、かえってみんなに迷惑をかけるという(笑)。それで骨折したのが年末だったんですけど、年明けにiDOL Street全員が参加する大きなイベント「無料ハイタッチ会」が行われたんです。これは無料ということで、どれくらいの方が来るのか想像もつかない。だけど、おそらく長時間のイベントになるだろうと言われていました。そこで私は「休みたくない! 骨折していても大丈夫だから、絶対に出ます!」とスタッフさんに直談判したんです。スタッフさんからはすごい勢いで止められましたけど、「いや、絶対に出ますから!」の一点張りで私も押し切って、当日も最後まで参加しました。プロデューサーの樋口さんからも、のちに言われました。「あのときの金澤の根性はすごかった」って。「自分がアイドルとして他の人に勝っていることは何か?」って考えたとき、それは歌とかダンスでもなければ、ビジュアルでもない。私には根性だけしかないんです。

AUTHOR

小野田 衛


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